梨木香歩『裏庭』です。
梨木香歩さんという作家は、比較的女性が好む傾向にある作家です。
この作品は、児童書コーナーにあり、子どもの頃に読みました。
今回改めて読み返しました。
というのも、思い返すと、昔は意識をしませんでしたがこの本があからさまに「傷(心の傷)」「きょうだい児」「毒親と子ども」の3本立てのような構成になっているなあと思ったからです。
もちろんそれ以外にも、サンクチュアリのようなすてきな庭の描写や善悪に関する記述、戦争、またファンタジーとしての楽しみもあり、私は主にこちらで楽しんでいます。
けれども、私のツイッターでは発達関連のフォローが多く、それにともなって「傷ついたこと」「親とのかかわり」「きょうだい児」の問題も多くツイート、リツイートされて読んでいます。
そこで思い出して、再読しました。それをまとめます。
以下ネタバレ
あらすじ
オレンジ=あらすじへのコメント
主人公は「照美(てるみ)」。父・母とくらす小学生です。
双子の弟、純は、軽度知的障害児。7歳で、食事や就寝に介助が必要です。そして、7際の時に事故で亡くなっています。
その亡くなった場所は、彼女らの近所の小学生の間では「お化け屋敷」とも「虫や草花の宝庫で格好の隠れ家・遊び場」とも言われて、一度は遊んだことのある場所、「バーンズ屋敷」。戦前、英国のバーンズ一家が住んでいて、今は荒れ放題の空き家です。ここが本作の主な舞台となります。
とても遊んでみたい庭。この本で「サンクチュアリ」という単語を覚え、魅力的に感じるようになりました。みずみずしく緑が深く、安心する爽やかに、でも湿気が少しある場所。開けているようでゴチャゴチャと囲まれており安心する場所、というイメージが作られました。サンクチュアリ、という言葉そのものは私の感覚では輝くルビー/みずみずしいベリーのようにキラキラとした赤い色をしています。
とても遊んでみたい庭。この本で「サンクチュアリ」という単語を覚え、魅力的に感じるようになりました。みずみずしく緑が深く、安心する爽やかに、でも湿気が少しある場所。開けているようでゴチャゴチャと囲まれており安心する場所、というイメージが作られました。サンクチュアリ、という言葉そのものは私の感覚では輝くルビー/みずみずしいベリーのようにキラキラとした赤い色をしています。
照美の父と母は照美を手のかからない子として放置。仕事もあり、ほとんど照美のことは顧みません。7歳の照美が純の世話。そのときに照美が目を離した際の事故で純が亡くなっており、照美は自分を責めています。純がいるときは照美を「役に立つ」「助かる」と褒めており、照美もそれを喜んでいたが、純が亡くなってからは本当に放置のような状態。照美は友達の家のおじいちゃんを話をきちんと(それも子どもあつかいせず)聞いてくれる存在として慕います。まさに毒親・ACにする親。
そのおじいちゃんも、また照美のお母さん・おとうさんもバーンズ屋敷経験者。おじいちゃんはバーンズ家の娘たちとも交流があります。
おじいちゃんが危篤になった不安とバーンズ家にひかれる気持ちを母に受け止めてもらえなかったことがきっかけで、照美はバーンズ屋敷に、英会話をさぼって入ります。
そして、『裏庭』という世界(これは、ただの庭ではなく、異世界のような場所)に入り込みます。
文庫p14 l4 バーンズ家の娘のひとり、レイチェルの話
『「私達は、裏庭をもってるの。父さんが言うには、もう何百年も私達の先祖が丹精してきた庭なの。私は、まだちらっとしか見たことはないんだけど、レベッカはしょっちゅう行くのよ。もう、そこで何かを育て始めているらしいの。父さんがいうには、一世代に一人はそうやって庭の世話をするものが出てくるものだっていうことらしいけど…。でも、庭師に宿命づけられている人って、とっても体が弱いんですって。どうも、エネルギーを吸い取られるらしいのよ。裏庭は、死の世界にとても近いところでもあるの」』
裏庭は死の世界に近い。そしてそれはこころの冒険ということ。彼女はここでの冒険を等して自分の傷つきや純へのわだかまり、親への許しおよびあきらめを得ます。当然ですが、それが「せねばならないこと」ではないです、あくまでこれは「照美のパターン」です。しかし、傷への言及や親への言及はとても興味ぶかいです。それを今思い出して読み返しているということは、そういう部分も、小学生の私の心にひっかかっていたということでしょう。
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